投げ売り

キャピチュレーションとは何か

キャピチュレーションとは、投資家が大きな損失を出して資産を急速に売却する時期を指します（投げ売り）。この大量売りは、投資家が価格回復への希望を失ったときに発生し、市場価格の急激な、そしてしばしば劇的な下落につながります。基本的には、投資家が「負けを認める」瞬間であり、さらなる損失を避けるためにポジションを決済することを決定します。

キャピチュレーション時には、投資家は恐怖とパニックに駆られて行動します。価格下落にもかかわらず資産を持ち続けてきた人々は、ついにその感情に負けて大量に売り始めます。この売り注文の急増が価格の下落を悪化させ、価格の下落とパニックの増大という悪循環を生みます。

キャピチュレーションが市場に与える影響は甚大です。圧倒的な売り圧力により、価格は通常よりもさらに急速に下落し、しばしば売られ過ぎの状態に達します。このような急落は、やがて相場の底を打ち、価格が安定し、売り圧力が収まって自信のある投資家が買い始めると回復し始める可能性があります。

歴史的には、キャピチュレーションという言葉は軍事用語に由来し、降伏を意味します。金融市場では、投資家が市場の実勢に身を任せ、市場が提示するいかなる価格でも資産を売却する時点を意味し、多くの場合、市場動向の転換点になる可能性があります。

しかし、キャピチュレーションしたからといってすぐに回復するとは限らないことに注意する必要があります。深刻な景気後退の終わりを示すこともありますが、市況や外的要因が価格の回復の早さに影響を与えることもあります。投資家は、キャピチュレーションシグナルに基づいて決断を下す前に、慎重になり、さまざまな要因を考慮する必要があります。

キャピチュレーションの原因は何か？

暗号資産市場では、いくつかの要因によってキャピチュレーションが引き起こされる可能性があります。その主な原因のひとつは、市場の低迷が長期化し、マイナス傾向が続くことで投資家の信頼が損なわれることです。価格が下落し続けると、恐怖とパニックが広がり、投資家はさらなる損失を避けるために資産を売却するようになります。

もう一つの一般的な原因は、市場を揺るがす重大なネガティブニュースや出来事です。これには、規制当局による取り締まり、大規模なセキュリティ侵害、予期せぬ金融危機などが含まれます。このような事態は不確実性と恐怖をもたらし、投資家は保有資産を急速に清算することになります。

市場心理もまた、キャピチュレーションに決定的な役割を果たします。特に、他の投資家が資産を売却しているのを目にすると、これ以上損をするのではないかという恐怖に押しつぶされそうになります。この群集心理が売り圧力を増幅させ、雪だるま式に売り急ぐ投資家が増えることになります。

最後に、景気後退懸念や世界的な金融不安といった外部経済情勢が、キャピチュレーションの一因となることがあります。広範な経済見通しが暗い場合、投資家は資本を保全するために暗号資産のようなリスク資産を売却せざるを得ないと感じるかもしれません。

キャピチュレーションを見極めるには

キャピチュレーションを見極めるのは難しいかもしれませんが、投資家が注目できる重要な指標はいくつかあります。主な兆候のひとつは、価格の急落を伴う取引量の大幅な増加です。この組み合わせは、多くの投資家が短期間に保有資産を売却していることを示唆しています。

テクニカル分析ツールも、キャピチュレーションを見極めるのに役立ちます。ローソク足チャートの「ハンマー（カラカサ）」のように、価格が大きく下落したものの、その後回復して始値付近で引けるパターンは、キャピチュレーションを示すことがあります。これらのパターンに出来高の多さが伴うと、シグナルを強めます。

市場センチメントをモニターするのも有効なアプローチです。キャピチュレーションの時、市場全体は恐怖とパニックのムードに包まれます。ニュースの見出し、ソーシャルメディアでの議論、投資家の行動は、広がったセンチメントを知る手がかりとなります。否定的なセンチメントが極端なレベルに達すると、キャピチュレーションが起こっているか、近づいていることを示しているかもしれません。

最後に、その後の価格の反発を見極めることが重要です。真のキャピチュレーションの後には、売り圧力が収まるにつれて価格が回復する急反騰がおこることが多くあります。この反発は、底値まで売られたことと、より回復力のある投資家が市場に参入してきていることを確認できます。しかし、最初の反発の後でも価格が不安定になる可能性があるため、注意が必要です。

キャピチュレーションの例

2015年1月のビットコイン（BTC）

2015年1月、ビットコインは大きなキャピチュレーションに見舞われました。2014年を通じて長期化した弱気相場の後、恐怖と不安は1月15日の大規模な暴落で頂点に達しました。ビットコインの価格は、売り注文の急増により、わずか2日間で38％下落しました。2013年の最高値1,152ドルから167ドルに下落し、85.5％の下落を記録しました。この強烈な売り圧力は、翌日には38%も上昇する急反発を見せ、キャピチュレーションの終わりと回復の始まりを示しました。

2023年初頭のTesla（TSLA）

Teslaの株価は、キャピチュレーションのもう一つの例を示しています。2021年10月に史上最高値の414ドルに達した後、TSLAは急落と短時間の反発を交互に繰り返しながら長期下落に見舞われました。2023年初頭には、株価は101ドルの安値まで下落し、その価値の4分の3以上が失われました。この時期、多くの投資家がパニック的に保有株を売却し、価格が劇的に下落しました。しかし、その後の数週間で、TSLAは208ドルまで大きく反発し、1日の取引量は一時10億ドルを超え、キャピチュレーションが過ぎ去ったことを示しました。