イーサリアムの重要なアップグレード「デンクン(Dencun)」が3月13日に実施される予定だ。マージ以来、最も期待されるハードフォークとして注目されているが、なぜこれほどの期待が寄せられているのだろうか?

デンクンは、レイヤー2スケーリングソリューションにとっての画期的な進展となる可能性がある。レイヤー2ネットワークのトランザクション手数料を大幅に削減し、イーサリアムの全体的なスケーラビリティを向上させると期待されている。

デンクンは、合計9つのイーサリアム改善提案(EIP)を取り入れている。このデンクンというアップグレードの名前は、イーサリアムの実行レイヤーのカンクン(Cancun)アップグレードと、コンセンサスレイヤーのデネブ(Deneb)アップグレードを組み合わせたものだ。カンクンは、実行レイヤーでのトランザクションの管理と処理方法を改善することに焦点を当て、デネブはブロックチェーンの状態についてネットワーク参加者が合意する方法、すなわちコンセンサスレイヤーの改善を目指す。

デジタルファイナンスグループの創設者兼CEOのジェームス・ウォ氏は、このアップグレードがイーサリアムネットワークのスケーラビリティ、効率、セキュリティを大幅に向上させる可能性があると語った。

「デンクンアップグレードの重要な機能は、EIP-4844、別名プロトダンクシャーディングによる一時的データブロブの導入だ。この開発は、データの可用性を高めることでレイヤー2のトランザクション手数料を削減することを目指し、イーサリアムをスケーラブルな決済レイヤーとして確立するに向けた重要な動きだ」。

しかし、フィデリティ・インベストメンツのリサーチアナリスト、マックス・ワディントン氏が3月6日に 発表したレポート によると、レイヤー2のユーザーに約束された手数料削減は、イーサリアムメインネットで取引するユーザーには直接影響しない。

「短期的には、この手数料の変更を利用するには、イーサリアムではなくL2で取引することで、ある程度の分散化とセキュリティを犠牲にしなければならない。これは間違いなく、より多くのユーザーを他の場所に資産を移すことを促すだろう。しかし、L2プラットフォームが成熟するにつれて、特定の用途でイーサリアムで取引することは、特に高額取引において、中期的には最良の選択肢と考えられるだろう」とワディントン氏は指摘している。

3月5日には、イーサリアムメインネットのガス料金が平均98gwei(10億分の1ETH)に上昇し、2023年5月初旬以来の高い水準となった。 Etherscanのデータ によると、平均的なスワップではユーザーはガス料金として87.45ドルを支払い、NFTの販売では平均でガス料金が147ドルかかる。

間近に迫ったイーサリアムの重要アップグレード「デンクン」 その重要性とは? image 0 Ethereum Average Gas Fee. Source: Ycharts

アップグレードへの期待が高まる中、イーサリアムは3月8日に4000ドルの大台に到達し、2021年12月以来の高値となった。世界第二位の仮想通貨は、週間で14.7%、月間で59%上昇している。

間近に迫ったイーサリアムの重要アップグレード「デンクン」 その重要性とは? image 1 ETH/USD 1-month chart. Source: CoinMarketCap

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン