仮想通貨運用大手グレイスケールの現物ビットコイン上場投資信託(ETF)が、米国で現物ビットコインETFが取引を開始した2023年1月11日以来、初めて市場シェアの50%を下回った。

3月12日時点でグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)の運用資産総額(AUM)は285億ドルに減少した。 デューン・アナリティクスのデータ によれば、グレイスケールは米国内の10個のビットコインETFのAUM567億ドルのうち48.9%を占めている。

グレイスケールのビットコインETF 運用資産額のシェアが50%以下に image 0 Grayscale’s GBTC fund accounts for less than 50% of the total Bitcoin ETF AUM. Source: Hildobby on Dune Analytics

米国で10種類の現物ビットコインETFが取引を開始した初日、グレイスケールのGBTCは全AUMの約99.5%を占めていた。しかし、GBTCからの流出が一貫して続き(先週は1日平均で3億2900万ドルの流出だった)、ETFでの市場シェアを削っていった。

GBTCからの流出は、ビットコインETFが立ち上がった最初の1か月間で最も大きく、約70億ドルがわずか1か月余りでGBTCから離れたが、1月下旬を過ぎてから流出は減速し始め、一部のアナリストは流出が終わりに近づいている可能性を示唆した。しかし、2月中旬には、破産裁判所が仮想通貨レンディング企業ジェネシスに対して、投資家への返済の一環としてGBTC株約13億ドル分の清算を 許可し 、再び流出が増加した。

ファーサイドの ビットコインETFフローデータ によると、これまでのGBTCからの流出総額は110億ドル強となっている。グレイスケールのETFは当初、機関投資家が少なくとも6か月間資金をロックアップすることでビットコインへのエクスポージャーを得るための信託だった。しかし、昨年8月の 裁判での勝利 とその後の証券取引委員会による他の現物ビットコインETF申請の承認を受けて、この信託はETFに転換された。これにより、機関投資家は、資金をファンドから完全に引き出すか、あるいは手数料の低い他のビットコインETFに資産を移すことができるようになった。

GBTCからの増加する流出に市場が当初は動揺したが、ブラックロックのiシェアーズ・ビットコインETF(IBIT)やフィデリティ・ワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド(FBTC)への堅調な純流入が進んだ。IBITとFBTCは、創設以来合計で169億ドルの流入を生み出している。

グレイスケールのビットコインETF 運用資産額のシェアが50%以下に image 1 Solid Bitcoin ETF inflows has been credited with driving the price of Bitcoin higher. Source: Farside Investors

一部の市場ウォッチャーは、新たに立ち上げられた9つのETFへの増加する流入が、ビットコイン価格の急速な上昇の背後にある根本的な要因の1つだとしている。ビットコインは3月11日に新たな最高値7万2900ドルを記録した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン