ビットコインは3月13日に7万3650ドルの史上最高値を記録し、16日間で44%の上昇を見せた。この急騰は米国で上場された現物ビットコイン上場投資信託(ETF)への需要増加を反映しており、3月12日には記録的な10億ドルの資産流入があった。

プロのトレーダーが強気のレバレッジポジションを増やす中、ビットコインが8万ドルに到達するか否か議論がなされている。

BTCはインフレヘッジとして利用されているのか?

一部のアナリストはビットコインが米国の金融政策に対するリスクヘッジとして使用されていることを強調した。特に、前年比で2月の消費者物価指数(CPI)が3.2%上昇したことを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)がさらなる利下げを控える圧力がかかっている。これは企業の事業拡大や雇用のインセンティブを減少させ、経済的な景気後退リスクを高める可能性がある。

一方で、悲観的なシナリオが現実となりインフルが加速しFRBがさらなる利上げを強いられる場合、ビットコインを含むリスクオン資産にとってはマイナスとなる結果をもたらす。市場動向が不確実な時期には投資家は株式市場や不動産への長期的な信念があっても、短期ポジションでリスクを減らす傾向がある。
 

ビットコインの強気相場はどうなる デリバティブ指標から分析 image 0 Exchanges’ top traders BTC long-to-short ratio. Source: Coinglass

ビットコインの強気相場の維持と8万ドルの達成には現物ビットコインETFの採用とビットコインに対するリスク評価にかかっている。2024年以前はビットコインは大多数の投資信託や資産運用会社にとっては容易にアクセスできるものではなかった。

規制面で問題を抱えていたビットコインだが、2024年1月11日の米国での現物ビットコインETFの承認がビットコインに対する社会の認識を大きく変えた。

過去2週間で、米国の現物ビットコインETFは約50億ドルの資本を引き付け、機関投資家にとって魅力あるコンテンツに成長を遂げた。それでも一部のアナリストはビットコイン先物取引における過度なレバレッジが清算リスクとビットコインの価格調整を引き起こす潜在的なリスクについて言及している。

ビットコインの先物建玉総額は13 日に350億ドルと過去最高水準に到達した。さらに仮想通貨取引所のトップトレーダーはレバレッジ取引でロング(買いポジション)を継続的に保持する展開となった。ロング対ショート比率指標は、スポット、永久先物、月次先物契約にまたがるポジションを集約し、投資家心理が強気であるか弱気であるかの総合的な評価を提供している。

「バイナンス」と「OKX」のクジラ(大口投資家)とマーケットメーカーは3月10日から13日にかけて純ロングポジションを増やし、統合指標は30日間で最高値に達した。これは相場上昇に対して過度な自信を持っていることを示すが、ビットコインが調整相場を迎えると結論づけるには不十分だ。
例えば、アービトラージデスクは、現物ビットコインETFへの強い流入を予測して先物市場を利用し、需要の一時的なバッファーを作り出している可能性がある。ETF発行者によって承認された機関投資家である指定参加者(AP)は、ETFの株式を作成および償還する権限を持っている。したがって、レバレッジの増加はETF流入による一時的な状況を反映している可能性がある。

BTCのデリバティブ指標は

専門家のトレーダーが過度に自信を持っているかどうかを確認するためには、ビットコインオプション市場のデータをクロスチェックする必要がある。25%デルタスキューは、アービトラージデスクとマーケットメーカーなどの市場参加者のリスク認識を示す重要な指標である。トレーダーがビットコイン価格の下落を予想する場合、スキューは7%以上に上昇するが、強気の時期にはマイナス7%のスキューになる。

ビットコインの強気相場はどうなる デリバティブ指標から分析 image 1 Bitcoin 2-month options 25% delta skew. Source: Laevitas

ビットコインの2ヶ月オプションの25%デルタスキューは現在、楽観的な水準を維持している。プットオプションは同等のコールオプションと比較してわずか6%の割引で取引されており、マイナス7%の範囲内におさまっている。したがって、過度な楽観は先物市場に集中していることになる。これらのデータはビットコイン先物の需要が無謀なリスクや連鎖的な清算のリスク増加を意味していないと言えるだろう。

ビットコインが近いうちに8万ドルを超えるという保証はないが、BTCデリバティブの指標は投資家の自信を示しており、トレーダーは予期せぬ上昇および下降の動きに対して同様のリスクを価格設定している。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。